大船中央病院の医療費不正徴収に関する情報(近藤Drの患者配布文)


 

 
 

乳がん患者各位

大船中央病院での違法徴収と、その返還請求について

 

200417日         

      近藤誠          

 

 大船中央病院(以下、大船)で生検や手術を受けた乳がん患者が、支払う必要のない

お金を支払わされてきたことが判明しました。これは違法な行為で(内容と理由は後述)、

雨宮厚・外科部長(以下、雨宮氏)が関与してきたことを自身も認めています。

 私は、これまで多数の患者を紹介してきた責任上、2003124日に全員に全額を

一括返還するよう大船と雨宮氏に申し入れました(彼らの対応は後述)。ただ対応如何

にかかわらず、違法行為の対象となった患者各自は、どのようなことが行われてきたか

を知る権利があると思うので、本文書を作成した次第です。

 

1.違法徴収の理由と内容

 昨年11月、患者さんが私に、領収書に不審な自費項目があることを指摘しました。そ

れから領収書や証言を収集し、違法徴収の事実が明かになったのです。最近の領収書で

一番多いタイプは、自費欄(医療保険の自己負担分とは別)の「その他」項目に54,000

円が計上され、徴収額は消費税を含めて56,700円となっています(内訳を書いた付箋が

貼ってある場合があり、それだと「手術材料費」が12,000円、「自費検査」が42,000円)。

これまで生検時や手術時の領収書を15人分以上集めましたが、例外なく自費を徴収して

います(4万円の場合も6万円の場合もある。1998年でも5万円以上。1994年に雨宮氏

が大船に来て以来徴収しているとの証言あり)。外来検査だけのときは徴収していない

ようです。

 医療保険を適用し、同時に自費を徴収することを「混合診療]と呼び、国は固く禁じ

ています(個室料は、患者が同意していれば合法)。自費徴収に患者が同意した場合に

は、保険の適用がなくなり、患者は全費用を支払うことになります。このような自費徴

収の意味を知れば、それに同意する患者はいないはずで、大船のは患者の錯覚を利用し

た違法徴収です。

 そもそも手術代には、材料費が含まれているので、大船のは二重取りです。また特殊

検査も他病院では、保険適用がない場合は病院が費用を負担しています。自費内訳が詳

しく書いてある大船の領収書があり、それを見ると、プロゲステロンリセプター代をも

徴収していますが、保険が適用される検査項目です。またHER2タンパク代も自費徴収

していますが、これも保険請求できる場合があります(二重取りしているかどうかは、

健康保険組合などにレセプトの開示請求をすれば分かります)。外来生検時に自費で4

万円ほど支払い、すぐあとの入院手術でも自費検査代として4万円ほど支払わされた人

もいます。また乳がんではないのに、6万円ほど自費徴収された人もいます(プロゲス

テロンリセプターやHER2タンパクは乳がんの検査項目)。

 大船では、雨宮氏が関与する入院手術が年200件以上あります。これだけでも違法徴

収額は1千万円以上になります(56,700円×200件)。外来手術での自費徴収分を加える

と、額はさらに膨らみます。

 

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 手術代も調べてみました。他病院(複数)の領収書を見ますと、乳房部分切除術(リ

ンパ節を切除せず)の「手術・麻酔料」が8万円〜12万円です(自己負担はその3割。

麻酔法の違いもあって差がつく)。ところが大船のは、どれも34万円以上になっている

(自己負担はその3割)。これは保険点数表の「腋窩部郭清を伴う乳房部分切除術」と

いう項目を適用した場合の金額です。大船では患者の大部分が腋窩リンパ節切除を受け

ておらず、その人たちは超過徴収(つまり違法徴収)されたことになります。この分の

一括返還も病院と雨宮氏に申し入れました。一括返還すべき金額は、自費徴収分と手術

代の違法徴収分をあわせ、1年で5千万円、5年で25千万円になる計算です。

 なお乳房温存手術時の全費用も大きく異なります。集めた領収書を見ると、個室料を

除いた全費用が、他病院では最低で13万円(日帰り手術の場合)、入院では最高で32

円でした(自己負担はその3割。2003年)。ところが大船は、自費徴収分や個室料を除

いた全費用が、最低で53万円、最高で76万円です(自己負担はその3割。2003年)。

手術代の算定法が違法であるのと、入院期間が長いのが理由です。

 

2.返還申し入れ後の動きと、患者さんへのアドバイス 

 昨年124日の申し入れ後、自費徴収はやめたようです。また、強く返還を求めた患

1人に、自費徴収分が返されました(手術代の違法徴収分は未返還)。しかし現時点で

は、手術代の超過分まで含めた一括返還の気配は見られません(大船の事務は昨年12

25日には「既に過去1年分の自費データは調べた。それ以上適って調べるかどうかは上

からの指示を待っている」と。これに対し雨宮氏は、この14日になっても「過去1

年分の自費データをやっと調べた。何年度分まで返還するかは検討中」と)。

 領収書を保存してあってもなくても、生検や手術を受けた人は、大船の医事課に電話

をかけるなどして、自費徴収分(全額)や手術代超過分(の自己負担分)の返還を求め

てみましょう。もし返還してくれなければ、保険組合や各都道府県の国保担当課などに

連絡してみるのも一法です。領収書を税務署に提出した方は、1年以内なら閲覧・コピ

ーできます。なお、一括返還を主張する際の参考にしたいので、生検時・手術時の領収

証を保存してある方は、できればコピーを郵送してください(新宿区信濃町35 慶応大

学病院放射線科 近藤誠宛。古い時期のものほど歓迎)。

 本文書は、私が直接患者に手渡すのが妥当かと思い、17日より各外来日のたびに

お渡ししています。もし私ではなく、他の患者さんから伝えられた場合には、貴女(貴

方)をないがしろにしたわけではないことをご理解ください。できるだけ多くの患者に

伝えたいのですが、たとえば大船だけで診察を受けている方や、1年に1度しか私の診

察を受けない方には、なかなか伝わらないでしょう。それゆえ、患者同士で伝達してく

ださるようお願いします。もし患者仲間リストを送ってくだされば、こちらから郵送ま

たはファクスいたします(要連絡先)。

 大船への通院を再検討しようとする方に数点アドバイスしておきます。術後の検査に

関しては、現在再発が明らかでない方は、どんなに多くの種類の検査をどんなに頻回に

しても、寿命が延びるという証拠はありません。米国臨床腫瘍学会は1997年にガイドラ

インを発表し、採血や超音波検査などを定期的に行うデータ的根拠はないと明言してい

ます(厚生労働省の研究班も昨年、同趣旨のガイドライン(案)を発表)。したがって、

 

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検査のために通院する必要はなく、なにか症状が出てから検査すれば十分です。

 じつは私は昨年1月から、新患を雨宮氏に紹介するのを止めています。私が乳房温存

療法を推進してきたのは、できるだけ患者の負担を減らし、数年たったら乳がんを忘れ

て暮らせるようにすることが目的です。ところが雨宮氏は、多数の検査を頻回にし、そ

れを何年も続けています。それほどの術後負担を患者に課し、病院に一生縛りつけるの

では目的に反します。それで検査が過剰だと雨宮氏に指摘していたのですが、事態は変

らず、大船は「乳腺センター」を新築しました。大船を訪ねてその立派なビルと社長室

のような雨宮氏の部屋を見たとき、これでは検査漬けは止められないな、と思い、しば

らく考えたあと新患紹介をストップしたわけです。

 その後は、乳房温存を希望する初診患者や再発患者を他の外科医たちに紹介してきま

したが、これまで雨宮氏がしたのと同じ手術をしてくれました。患者が自分の意見をき

ちんと言えば、多くの外科医が従ってくれる時代になっています。それゆえ、再発にそ

なえての保険とばかりに通院を続ける必要もありません。

 それにそもそも近年は、雨宮氏自身が執刀しているわけではないのです。今回、証拠

・証言を収集する過程で、O氏が雨宮氏の部下になってから、専ら彼が執刀していたこ

とを確認しました(それ以前は、研修医が執刀することが多かったという証言も得た)。

 また 術後補助療法としてホルモン剤を飲まされている人のほとんどは、メリットよ

りリスクのほうが上回るでしょう。拙著『乳がんあなたの答えがみつかる本』(双葉社

刊)が参考になるはずです。再発して化学療法を受けている方は、延命効果は多分あり

ません(拙著『再発・転移の話をしよう』三省堂刊、参照)。それゆえ、もう一度検討

されたらいかがでしょうか。なお私が、今後の方針や転医の相談に乗ることも可能です。

 

3.終わりに

 雨宮氏と協力してきた私が、なぜ彼と大船の不正を各患者に伝えねばならないのか。

雨宮氏が自分の利益を図るためではなく、患者の利益を図るために協力してくれると思

えばこその関係でした。ところが彼は、じつは背信行為をして患者を裏切ってきたわけ

で、それに気づいてしまった以上、被害者たる患者に伝えるしかないでしょう。

 また私は、患者を雨宮氏に紹介してきました。そして、種々の著作で雨宮氏を褒めて

きた(実名を出して褒めた唯一の外科医)ので、それら著作の影響で雨宮氏を訪れた患

者に対しても責任を負っています。また米国には、「医師は患者および同僚医師に対し

正直に対処し、人格またはその能力に欠陥を持った医師および詐欺、または欺もうに携

わる医師を明かにすべく努めなければならない」という明文の規定があります。これは

世界中の医者に妥当する普遍的義務であるはずですが、誰に対して明かにするかといえ

ば、患者や社会に対してでしょう。

 雨宮氏には、乳房温存療法の普及に貢献した大きな功績があります。しかし、過去の

功績や栄光は、現在の違法を正当化しません。なによりも、患者たちが寄せる無限の信

頼を逆手にとって、背信行為を働いてきたことが許しがたい。そしてこれは、ささいな

金額をうっかり超過請求したというような話ではなく、被害者の総人数といい1人当た

りの金額といい、また徴収の意図からしても、見過ごすわけにはいかない行いです。そ

れゆえ、断腸の思いで本文書を手渡す次第です。

 

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★2/11追加情報:この文書後、近藤Drは、2/4以降から新しい文書も配布しています。(今回の件への関係者向け文書です。必要な方は近藤Drにお問合せください。)

 

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